A Trip to Japan with Nina Kraviz
2019-04-16

A Trip to Japan with Nina Kraviz

Music

プロデューサー・DJ・レーベルオーナー…。シベリア、イルクーツク出身のニーナ・クラヴィッツは、これまでに幾度となく日本を訪れている。その度に思いがけない体験をしているようで、私たちに目を輝かせながらこの国からの影響を語ってくれた。彼女から見た日本の文化を、この記事では探ってゆこう。その範疇は、クラブの外側にまで及んだ――。

  • Mixmag: あなたにとって、日本は特別な国であると聞いています。そのことについて少しお伺いできますか?

    Nina: 何回日本に来ているかは分からないわ。日本の文化が大好きよ。もはや私のアーティスト性の一部だと思う。日本でパフォーマンスしない私なんて考えられないもの。ヒトミプロダクションとは、たくさんのツアーを回っているわ。 ありがたいことに、大きなクラブだけでなく小さなクラブまでたくさん回れているの。100人~150人ぐらいの規模ね。浜松だったり旭川だったり…。それらの街での経験は本当に特別なものよ。日本のオーディエンスはエレクトロニックミュージックへの造詣(とりわけハウスミュージックには)が深いことで知られているわよね。90年代のデリック・メイを筆頭に、テクノもすごく人気があるわ。音楽シーンにとっても日本は重要な存在よ。私も日本盤をたくさんリリースさせてもらってるもの。2012年にアルバムデビューしたときも、その次に出たEP『Mr. Jones』も、両方日本版をスペシャルエディションで出したの。すべてのミュージシャンにとって、日本でリリースすることは特別なことよ。もちろん、日本のクラウドも最高ね。

  • M: 日本の好きなところについて、具体的に聞いてもよろしいですか?

    N: わたしは日本の厳かなところが好きよ。異なるフィロソフィーを学べることには感謝してるわ。ヨーロッパでストレスフルな生活をしていても、日本に戻ってくると安心するの。この国の人々も、他の国とはかなり違うわよね。すべてにおいて100%で対応してくれるから、本当にありがたい。どういう職業で、どういう役割を担っている人でもね。みんなそれぞれの仕事に対して誇りを持っていると思うわ。それが誰かにとってはスペシャルなことだったりするのよ。それが音楽業界とっても言えて、たとえば60年代、70年代、80年代のレコードを探そうと思ったら、日本ではとんでもなく良い状態で発見できるはずよ。もちろんヴァイナルでね。父も日本でたくさんレコードを買ってたから、私もそれにすごく影響されたの。

    M: どうして海外のアーティストは日本盤を出すんだと思います?

    N: ローカルなものを日本に適応させなければいけないじゃないかしら。英語は外の言語だもの。だからすべての物を日本の価値観で再解釈しているのではないかしら。たとえば、私のレーベルの話だけれど。私はメインレーベルの他にサブレーベルも持っているの。「Galaxiid」っていうのだけれど。宇宙とは何の関係ないわ。「Galaxiidae」っていう魚の名前からとっているの。メインレーベルの「трип」は主にダンスミュージックのために作ったのだけれど、「Galaxiidae」はもっと幅広い音楽のためにあるのよ。ロックでもアンビエントでもエレクトロニカでも、何でもアリ。最初のリリースは90年代のロシアのパイオニア的ミュージシャン「Species of Fishes」の同名アルバムのリイシューね。で、2番目のリリースが、この間出したばかりの『X-Rated』。Solar Xというアーティストが出した作品なのだけれど、彼もまたロシアのパイオニア的存在ね。彼はアルバムをいくつか出していたのけれど、それらがヴァイナルでリリースされることはなかったわ。だから私が世の中に知らしめようと思ったの。この作品のジャケットは、田名網敬一(たなあみ けいいち)という83歳の日本人サイケデリックアーティストが書いたのよ。彼と仕事が出来て本当に光栄だったわ。ことの経緯を話すと…、ところでDOMMUNEの宇川さんは知っているかしら?東京の音楽シーンを支えている重要な人物よね。彼が田名網さんを紹介してくれたの。前にDOMMUNEに出演させてもらったとき、お酒を飲みながら宇川さんと色々な話をしたわ。そのときに私が考えていることを話したの。そうしたら、彼が田名網さんの作品を見せてくれたのよ。すごくビックリしたし、感動した。私はずっとサイケデリックアーティストと繋がりを持ちたかったから。それが田名網さんとのコラボの始まりよ。彼の大きな展覧会がモスクワであったんだけれど、そこで私はLive Setをやらせてもらったの。彼の7分間の映像に私が音楽をつけてゆくってヤツね。そしてそのお返しとして、彼のアートワークを私の作品に使ってもいいって言ってくれたのよ。それがこのジャケットね。私は作品としてこの絵が大好きよ。外側の紙の部分を「帯(おび)」というのだけれど、日本でリリースされる作品には大体付いているわ。私はこの日本の独特な感じが好きで、アートワークもあえて日本風にしたの。日本語もそこかしこに書かれているでしょう? 本当にこのプロジェクトは私にとって大事なものなのよ。

  • N: それから、私は日本の前衛芸術も好きよ。それらも私にとって大切なもののひとつ。それと、あなたは日本のクラブのサウンドシステムの素晴らしさは知っているかしら?クラブワーカーの人たちも、ものすごく丁寧に音響機材を扱うのよ。クラブのオーナーたちはクラブのあるべき姿に対して物凄く真剣に考えているわ。これは世界でも突出しているものだと思うし、日本に来ればスペシャルな経験として体感できるはずよ。…話がそれてしまったけれど、なぜ日本盤が作られるのか?だったかしら。やっぱり、文化が違うからよね。日本では多くの伝統が残っているし、それはとても素晴らしいことだと思う。

    M: 日本のナイトカルチャーについてはどういう印象を受けますか?

    N: 日本の夜はとても親密な感じがするわよね。少し縮小しているようにも思う。でもそれが私にはかえって近しいものとして感じられるわ。エネルギーが凝縮されているというか。クオリティもすごく高いしね。そもそもクラブカルチャーは今世界のどこも大変よ。フェスティバルにとってかわられているから。でも、フェスではひとりのアーティストが6時間も回すところなんて体験できないわよね。ひとりのアーティストを深堀りしようという人が減って来てるのかも。でも、日本ではそういう経験ができるわ。こんなふうにハウスが体験できる場所なんて、世界のどこにもないわ。とてもユニークよね。そして日本は東京だけ、ってわけでもない。アーティストとして刺激的な街がたくさんあるわ。消費されていないダンスミュージックが、この国にはまだ残されている。今日の文化はかなり表面的になってしまったけれど、人々はアートの底にあるものを欲しているはず。これはただの私のセオリーだけれど、そう思いたい。

    M: どこへでも、そして何をしても良いと言われれば、あなたは今夜どこへ行きますか?

    N: 少なくとも2時間は指圧マッサージを受けたいわね(笑)。日本の知り合いにとんでもなく優秀なセラピストがいるの。仕事終わりに施術を受けるのが至高の時間よ。それに日本は食べ物も美味しいわよね。みんな知っているけど。みんなが知っていることはちょっとあまり話したくないわ(笑)。さっきから言ってるように、日本に来たら絶対にレコードショップへは行くべきよ。音楽から離れるならば、京都に行きたい。もしくは小さな街。すべての街が何かしら発見をくれるから。ただ道を歩いているだけでもね。そして通りから聞こえてくる日本語に耳を澄ますの。日本語はとても音楽的だから。ある意味ではとても孤立しているような気分になるし、違う世界に来たようにも感じる。私はそのモードになった時が好きなの。基本的に、日本滞在は最高よ。街中で迷ってみるのも良いと思うわ。あとは、指圧よ!

  • M: 最後に、あなたの2019年の展望をお伺いしたいです。

    N: 新しいアルバムを作ってるところよ。今年中にはリリースできると良いのだけれど。それから、もうすぐコーチェラが始まるわね。ダンスミュージック以外の音楽もやりたい。山ほど仕事があるんだけれど、制作に集中するためにすべてが終わったら少し休むつもり。「трип」でも新しいリリースがあるわ。「Galaxiid」にも。音楽で満たされた年になりそうね。DJの本数は減ることになるかもしれないわ。

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