京都で銭湯に入ろう。銭湯活動家、湊三次郎さんが教えてくれる銭湯の魅力と正しいお風呂の入り方
2020-03-26

京都で銭湯に入ろう。銭湯活動家、湊三次郎さんが教えてくれる銭湯の魅力と正しいお風呂の入り方

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日本人はお風呂好き。一般家庭にあるお風呂はたいてい、バスタブと洗い場(シャワー)のスペースが分かれていて、バスタブの湯に浸かって身体を温めるということをする。「いい湯だな~、あははん!」という、たいていの日本人が知っている歌ができてしまうくらい、日本人の風呂に対する関心度は高い。銭湯の始まりは今から約400年前。江戸と呼ばれる時代に始まった町の公衆浴場は、江戸時代が終わりを迎えたと同時にどんどん進化し、日本の人口が増えた1960年代にはピークを迎え日本全国で2万2000件もの銭湯が出没。中でも東京、京都、大阪といった人口の多い地域には、ひとつの駅に1~2軒の割合で銭湯があり、人々の憩いの場として人気を呼んだ。

  • 自宅に風呂があるのが当たり前になった近年は、全国的に銭湯の数が減ってはきているものの、それでも湯に入ることが好きな風呂好きたちの間では、ならなくてはならない存在。そこで今回は、日本のローカル・カルチャーを体験できる銭湯について、日本の古都、京都にある銭湯「サウナの梅湯」を経営する銭湯活動家、湊三次郎さんにその魅力と、風呂の入り方を聞いてみた。

  • --「銭湯」は湊さんにとってどんな存在ですか?

    湊三次郎:銭湯というのは庶民文化で、歴史を辿ると日本全国どこにでもあった。小さい島でもなんでも、今のコンビニみたいに当たり前な存在で、身近なものだったんだけど、今は数が少なくなってきている。だけどちゃんとした日本文化なので、自分としては残していきたいなと。


    ―子供の頃の銭湯の思い出はありますか?

    湊三次郎:自分は静岡出身なんですけど、子供の頃は銭湯に行った記憶がなく、京都へきてから入りに行くようになったんです。そもそも静岡に住んでいるときは、ローカルの人たちが集まるような店に行ったことがなかったんで。だけど京都に出てきて、たまたま自分が住んでいた家の近くに銭湯があって、行き始めたんですけど、そのうち京都には銭湯がたくさんあって凄いなと思ったんです。

  • ―銭湯が全国的に少なくなっている中、「サウナの梅湯」を、引き継いでやってみようと思った熱い気持ちはなんだったのでしょうか?

    湊三次郎:前やっていた方が辞めると言っていて、その人たちが撤退するというので、僕が借りてやることになりました。そのときは、自分は社会人1年目で、その仕事も違うなと思っていたので、銭湯のことをやってみようかなと思ったんです。全国的に銭湯がなくなっている中で、どうやっていこうかとなったときに、銭湯ファンの間でイベントをやったりという動きがあったんですけど、実際に銭湯を運営して、積極的に銭湯を残すという直接的な行動をしている人たちが他にいなかったので。その根本的な部分で銭湯をどう残してやっていくか、どうサポートしていくかという人たちがいなかったんですよ。


    ―外国人観光客の方がいらっしゃったときに、どのように銭湯を楽しんでもらいたいなと思いますか?

    湊三次郎:これは日本人だから、外国人だからというのはないんですけど、まずはローカルに「おじゃまします」という、気持ちでいてくれたら良いなと思いますね。もちろん「梅湯」には、国内外問わず観光客の方々もたくさんくるんですけど、僕らは観光向けにやっているわけではないのと、やはり地元の生活に密着している風呂屋でもあるので。なので、強調していうならば、ローカルのルールを守って、そこに「おじゃまします」という気持ちが大事かなと。

  • ―確かに銭湯って、地元で生活をしている人々のものでもありますものね。あとは普段は銭湯へ行かない人たちがたまに行くと、日本人でも銭湯に入るマナーを知らない人もいたりします。

    湊三次郎:銭湯の阿吽のルールは、日本人でも難しいし、銭湯側がそういった秩序や雰囲気を作らないといけないんですけどね。でも常連さん主導で、秩序が作られていくこともあるので。それが一限さんにとって心地よい環境なのかどうかは、難しいところですよね。


    ―日本の銭湯に入るときの心意気や、入るときのルールを教えていただけますか?

    湊三次郎:まずは公共の場に「おじゃまします」という気持ち。あとは外国人の方にとっては完全なる異文化だと思うので、何か疑問を感じたらスタッフやお客さんに素直に聞いたら良いと思います。そうしないと急に常連さんに怒られたりすることもあるので。……と言っても言語の問題もあるので、難しいこともあると思うんですが。
    あとは海外の方だとバスタオルを持って風呂場に入っていく方も多いんです。バスタオルを持ってきていただくのはもちろん良いんですが、銭湯で風呂場に持っていくことは日本人の感覚にはない。僕は「日本式のタオル」と言っているんですけど、それを持って風呂場へいって欲しいと伝えてきます。日本人はハンドサイズのタオル一枚で、身体をこすって洗う、絞って使う、風呂場を出るとき体を拭く、などしますので。僕たちは外国人の方に配っている内容があるんですけど、その中にも日本式のタオルを使って風呂に入って欲しいということを書いていますね。

  • ―これまでに外国のお客さまがこられた際に、「銭湯は異文化なんだな」と思ったエピソードはありますか?

    湊三次郎:京都に長く滞在されてる外国人の方々で、一度来てから続けて通ってくださるお客さんも多いです。中でもフランス人の方が多いですね。銭湯に対する関心性が高いのか、受容性が高いのか、常連化する人はフランス人が多いイメージがあります。
    それと一度、ブラジルのボーイスカウトの人たちが京都へきたときに、大勢の子供たちが滞在していて、2日間に渡って「梅湯」にやってきたことがあったんです。僕はブラジル文化を学んでいたこともあり、それを観て納得したんですけど、ブラジル人って極端に人に裸を見られるのを嫌がるんですよね。なので、引率していた先生が、銭湯について説明はしていたんですけど、いざ公共の場で裸になって風呂に入るとなると、恥ずかしがって嫌がっている子供たちが多くて。だけど、初日はおっかなびっくり、隠しながら入っていた子たちも、2日目は心を開いて楽しんで入ってくれていました。


    ―風呂文化から、その国の文化を知ることができますね。

    湊三次郎:確かに銭湯は、日本人の民度が垣間見れる場所でもあると思います。日本人からしたら、普通のことかもしれないですけど、海外からみたらすごく独特な文化なので、是非味わって欲しいなとは思いますね。銭湯がなくなってしまうのはすごく勿体無いし、銭湯に行く人たちが昔より少なくなってはいるけど、やり方次第では残っていける銭湯もあると思うので。

  • ―そして町の人々の憩いの場でもあるので、文化として残っているのかなと思いますね。

    湊三次郎:そうですね。江戸時代は最初はサウナみたいな感じだったんですが、すごいなと思うのが、それを商売にしようと思った人がいたってこと。温泉だったら、掘ったら温泉がでてきて、それをみんなで共有しようってことですけど、銭湯の場合は、わざわざ沸かす手間や時間、もちろん経費もかかるし。それが江戸時代から需要があって、それが今日まで続いているということは、そこに日本人の精神性がすごく関わっているのかなと思います。だからなんかローカルにある銭湯を残したいんですよね。


    ―やはりですね、銭湯の良さというのは、入り終わった後に「気持ちよかった!」と思えることですよね!

    湊三次郎:それが1番いいところです。その気分を450円や、480円で経験できて(都道府県によって金額が異なる)、居ようと思えば2時間とかいれる。興味がある人は、是非チャレンジしてみて欲しいですね。

  • ▷〈銭湯に入るときのエチケット〉

    ・風呂場に入ったらまず、かけ湯をすること
    ・湯船に入る前に、石鹸を使って体を洗うこと
    ・髪の長い方は、結い上げてください
    ・化粧を落としてから入浴をしてください
    ・サウナから出てきて水風呂や湯船に入る前は汗を一度流しましょう

  • 〈湯船の中での禁止事項 / 湯船は清潔に使いましょう〉
    ・タオルをつけない
    ・身体を洗わない
    ・石鹸の泡をいれない
    ・身体をこすらない
    ・もぐらない
    ・髪をつけない
    ・湯船に入る前に身体を流しましょう

  • ▷湊三次郎さんが経営する京都の銭湯

  • サウナの梅湯

    京都駅や祇園からも近い京都・五条にあり、一時は廃業になったものの、湊三次郎さんが受け継ぎ再開を果たした。民家の間を流れるほのぼのとした高瀬川のほとりにあり、昔ながらの木造建ての建物と、夜になる灯る看板のネオンの灯りがなんとも情緒溢れる。

  • 京都ならでは天然地下水を使用して薪で沸かした湯を使用した風呂は、深風呂、ジェットバス、水風呂、電気風呂、薬湯サウナと盛りだくさん。湊さんが、外国人にお勧めするのは、ビリビリと心地よい電気風呂。階段を上がった2階には休息所もあり、タトゥースタジオ「狐や」もある。またときには、空間をいかして音楽イベントや、落語家の寄席も開催。ここ数年は、次世代が経営する銭湯として注目を浴びている、古きよき日本のスタイルの銭湯です。

  • ■梅湯
    住所: 京都府京都市下京区岩滝町175
    Tel:080-2523-0626
    営業時間: 14:00~26:00(土曜日・日曜日は6:00~12:00、14:00~26:00)
    定休日:木曜日
    料金:大人 450円, 中学生 150円, 子供 60円

  • 源湯

    京都市内から少しだけ離れた地域にある「源湯」は、90年前のノスタルジックな建物を使用した、ローカルに愛され続けてきた銭湯。モザイクタイルを使用した風呂場のアートは、京都の銭湯ならではの光景でもある。天然地下水を使用して薪で沸かした湯を使用した風呂は、深風呂、浅風呂、水風呂、ジェット風呂、サウナ。

  • 風呂場の横に隣接されている、かつて銭湯の主人が住んでいたという和式の部屋が休息所になっており、入浴を楽しんだ後、畳にゴロンと休むことも可能。また風呂の2階には、サブカルチャーを愛する若者たちが店を経営しており、これからカフェもオープン予定とのこと。

  • ■源湯
    住所:京都市上京区北町580-6
    Tel:075-461-2322
    営業時間:14:00〜25:00
    定休日:火曜日
    料金:大人 450円, 中学生 150円, 子供 60円

  • ▷京都の銭湯の魅力

    古くからある木造建ての建物の中にあることが多く、風呂場ではタイルを使用しているところが多く、モザイクタイルのアートを楽しむことができるのも京都ならでは。ちなみに銭湯に描かれている絵は、東京では職人が描く富士山を主流としたペンキ絵が多く、京都ではタイルを使用したさまざまなタイプの絵柄を見ることができる。また、魚が泳いでいる大きな水槽や、ガラスに囲われた鳥小屋が浴室と隣接している銭湯、露店風呂や、電気風呂などがある銭湯、芸者や舞妓さんも時折姿を見せるという銭湯など、各々の銭湯により個性はさまざま。また京都では天然地下水を使用しているところがほとんどなので、なめらかさを感じる極上の湯を体験することができる。



    京都銭湯
    https://1010.kyoto/


    Photo&Text:Kana Yoshioka

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