
SARASAに聞く、日本のナイトライフシーン
MusicヒップホップDJとして、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、中近東などワールドワイドに活動をするDJのSARASA。これまでに世界トップクラスのアーティストたちと共演を果たしてきただけでなく、パーティ・オーガナイズ、ファッション・ブランドのプロデュース、また渋谷にてタコス屋「Casa De Sarasa」のオーナーとして活躍中。そんなマルチなパワフルウーマンであるSARASAに、東京のナイトライフシーンについて話を聞いてみた。
―夜、遊び出したときのことを覚えていますか?
DJ SARASA(以下、S) 高校2生のときに、カナダに留学をしたことがあったんですけど、そのときにアンダーエイジのクラブナイトみたいのがあって。行き始めて、それで音楽に身をゆだねる楽しさを知りました。爆音で音楽がかかっていて、みんな踊っていて。家でおめかしして準備をして、それで繰り出すんですけど、準備の段階からパーティーが始まっている感じがして、それも楽しかったですね。それで高校3年生のときに日本に帰ってきたんですけど、みんな大学受験に夢中で、「つまんない」と思って、高校を卒業するときにみんな体験したことないだろうと思って、クラブ的なところでDJを入れて、卒業プロムパーティーをやりました。
―どんな風に遊んできましたか?
S やっぱり音楽メインですね。クラブに出会いを求めていなかったので、自分が好きな音楽がかかる場所に行っていました。
―今でも覚えている衝撃的なDJは誰ですか?
S DJ KOCO aka SHIMOKITAさん。本当にすごくて、追っかけていました。あとDJ TSUさん。アンダーグラウンド・ヒップホップのセンスがドンピシャで。彼がレギュラーでやっていた「PLEASURE」というイベントは、DJ RYOW a.k.a smooth currentさんという人と、渋谷の〈club bar FAMILY〉でやっていたんですけど。今思い返しても一番好きなイベントです。そのイベントは、Nujabesの周りにいた人たちがやっているので、ジャジーなヒップホップとか、魂が癒されるようなヒップホップがかかっていました。―今はワールドワイドにDJされていますが、海外と日本の違いはなんだと思いますか?
S 日本の人はDJに対して敬意があると思います。DJがかけているんだったら、ちゃんとそれを聴くという姿勢をもっている。外国だとお客さんが自分が聴きたいものという方が強いですね。これをかけて欲しいとリクエストをしてきたり。ただ、私がかける曲の言葉の意味がわかるので一緒に歌ってくれたり。曲の自体の分析力みたいなものは強くて、DJをちゃんと聴いているのがいいところですね。
―これまでのナイトライフで、DJとして思い出に残っていることはありますか?
S やっぱり夜景がきれいなところでプレイをしたり。サンセットを楽しんだり。それがボートの上だったり、高層ビルの上だったり、風景が変わっていく場所でDJをしたり。あとはこうやって都会のトワイライトが見えるところとかはいいなと思いますね。
―東京はオリンピック前ということもあり、街が変貌を遂げていますが、東京のナイトライフをどう思いますか?
S 例えば昔はクラブによっては、外国人だったら入れないとか、そういう変なルールがあったと思うんですけど、日本自体がインターナショナルになるにつれて、変えていかなくてはならないことに気付きはじめていて。いろいろな多様性だったり。それとクラブって、昔はもっと煙かったじゃないですか。世界基準を目指している姿勢は感じられますね。
―お酒もおいしいカクテルを出すクラブも増えていますよね。
S そうですね。あとは〈1OAK Tokyo〉みたいなクラブができたことによって、シャンパンタワーでウォー! みたいなのも始まったなと。外国の影響もあって、VIPの席がイケているみたいな感じのも出てきたのではと思います。前はクラブに行く人はクラバーというイメージだったけど、今はもっとみんな行きやすくなったというか。フェス慣れしてきたというのもあって、音楽を聴くことが、苦手な感じじゃなくなってきたんだと思います。私が高校生くらいのときは、クラブ派か、居酒屋&カラオケ派か、だったんですけど、居酒屋&カラオケ派が少しずつクラブへ流れきたなと。幅広くみんなが行けるようになってきたというのは、DJとしてもいいことだと思っています。―これから日本のナイトライフシーンに期待することはなんでしょうか?
S 私は個人的にクラブは禁煙にしてほしいですね。行っても健康的な場所になってほしいし、お酒の楽しさや、大人の楽しみ方が分かる場所だったらいいなと。それと音楽と向き合える、そんな本質的なパーティーやクラブが増えてくれたらいいなと思います。▷DJ SARARA おすすめのナイトスポット
■Casa De SARASA
DJ SARASAがDJでメキシコに行ったときに食べたタコスに本格的に恋に落ちて、日本でも本場メキシコのタコスを食べられるようにと、渋谷ではじめたタコス屋。自家製のコーントルティーヤに乗ってくるのは、野菜や肉を使ったジューシーな具。酒は、タコスに合うメキシコのCoronaビールをはじめ、DJ SARASAがメキシコから直で仕入れたプレミアムテキーラなど充実なラインナップ。週末はも深夜の3時までオープンしているので、クラブへ行く前に立ち寄ってみるのもいい。
“Shibuya Mexican” CASA DE SARASA
Adress:2-25-5 Dogenzaka Shibuya Tokyo (2F)
Tel:+81(0)3-5428-6155
OPEN:Mon 18:00~23:00, Tus~Turs 18:00~25:00, Fri / Sat 18:00~27:00, Sun 15:00~25:00
https://www.facebook.com/CasaDeSarasa/■THE ROOM
渋谷駅から徒歩5分。日本のDJシーンには欠かせない、沖野修也がオーナーを務める東京の老舗クラブ。「ファンク、ジャズ、ソウル、ディスコがいい感じに流れていて、音楽は間違いないし、お酒も美味しい。東京へ来た人にはぜひ行ってもらいたいですね」と、DJ SARASA。オープン時間はイベントにもよるが、平日は19時あたりからオープン。音楽好き、お酒好きには最適なクラブ。
THE ROOM
Adress:Daihachi Toto Bld. B1F, 15-19 Sakuragaokacho, Shibuya-ku, Tokyo JAPAN
Tel:+81(0)3-3461-7167
http://www.theroom.jp■club bar FAMILY
オープンは1996年。第一線で活躍する国内外のDJやラッパーから、若い世代までが出演し、日本のヒップホップシーンを支えてきた老舗ヒップホップクラブ。出演ラインナップ、お酒、サウンドシステムと、良質かつ、充実した内容が魅力。「アングラなヒップホップを聴きたいならここ。ローカル体験ができます」と、DJ SARASA。週末はイベントが入り、平日は19時からラウンジスタイルでオープンしているので、渋谷界隈を訪ねたヒップホップ好きは、是非立ち寄ってみて欲しい。
club bar FAMILY
Adress:Shisui Bld. B1F, 1-10-2 Shibuya, Shibuya-ku, Tokyo JAPAN
Tel:+81(0)3-3400-9182
https://club-bar-family.com■多国籍な人々がやってくるパーティ「Speakeasy TYO」
DJ SARASAがレジデントDJを務める大人気パーティ。「誰でも受け入れられるアットホームなパーティー」を目標に、ヒップホップ、ハウス、ファンクを軸に国内外のベテランDJたちが出演し、客も日本人、外国人、老若男女さまざまな人々がミックス。これまでにホテルのラウンジ、横浜赤煉瓦倉庫など場所を変えて開催してきた。2020年は2月7日にhotel koe tokyoにて開催とのこと。ぜひ、遊びに行ってみて欲しい。
Speakeasy TYO
https://www.facebook.com/SpeakeasyTYO/
Photo:Reiji Yamazaki
Text:Kana Yoshioka